© 士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
© Shirow Masamune, Production I.G/KODANSHA/GITS2045

KODANSHA
NEWS_
2024.06.11Article
SHARE

M.M.A. -Massive Mesh Ambitions- 特集#02/田崎英明「これは私のからだである──あるいは、タチコマたちの時間」英語版も公開

MMA Hideaki Tazaki 田崎英明 攻殻機動隊 ghostintheshell

『攻殻機動隊』を思索・議論するメディアプロジェクト「M.M.A. -Massive Mesh Ambitions-」。

 

特集#02のテーマは「アウトロー|Outlaw」。
田崎英明「これは私のからだである──あるいは、タチコマたちの時間」の英語版も公開しました。

 

《攻殻機動隊》を斜めから読み解こうとするうえで、田崎英明の過去の著作群は、あたかもそのために書かれたのではないかと錯覚するほどに、またとない手引きとなっている。

 

事実としては、田崎が過去の著作で《攻殻機動隊》について直接的に言及したためしは、ほぼない。けれども、ジェンダー/セクシュアリティの研究者として、サディズムとマゾヒズム、能動と受動、暴力と愛、自己と他者、個体と共同体などの二項対立のあわいに立ち、それらをまったく意表を突くような仕方で調停させてきた田崎の思想は、《攻殻機動隊》が提示する作品世界の最もラディカルな部分とも、深く、淫らに、共鳴している。

 

以前、田崎は自身にとってセクシュアリティが理論的に意味をもつ理由について、こう述べていた。「それが、苦痛を快楽に変え、また、憎しみを愛に変えることで、ひとにサヴァイヴァルを可能にするからであり、さらにいえば、個体化と共同性とが、まさにそこにおいて形成される場だからである」。

 

はたして今回、私たちのサヴァイヴァルの可能性──個体化と共同性が形成される場の探究へと再び向かった田崎が、一縷の望みを懸けて厄介な探究の共犯者として選んだのは、ハードボイルドな公安9課においては異彩を放つキュートさによって、S.A.Cシリーズのマスコット的存在としての地位を不動にしている、あの彷徨える蒼き思考戦車──「タチコマ」──である。