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2023.12.11Anime,Event
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2023年12月2日(土)実施『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』公開記念舞台挨拶公式レポート

『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』劇場公開2週目となる12月2日(土)にグランドシネマサンシャイン池袋にて公開記念舞台挨拶が実施され、神山健治(『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』総監督)、押井守(『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』監督)が登壇し、本作と「攻殻機動隊」シリーズについて、歴代攻殻監督同士による貴重なトークが展開されました。

 

『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』 公開記念舞台挨拶 概要
■日時:12月2日(土)18:10~18:40 ※上映後イベント
■登壇者(敬称略):神山健治(『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』総監督) 押井守(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』監督)
■場所:グランドシネマサンシャイン 池袋 シアター5(豊島区東池袋1丁目30−34)

 

原作アニメ化第1作の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)と『イノセンス』(2004年)を手掛けた押井監督。『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ(2002年~)を手掛け、『攻殻機動隊 SAC_2045』シリーズ(2020年~)を荒牧伸志監督と共同監督として携わり、そして本作『最後の人間』においては荒牧伸志とともに総監督として関わった神山監督。なかなか見られない両監督の登壇という超レアな瞬間に立ち会おうと、場内は大勢のファンで満員御礼だった。

 

 

Netflixで配信されている『攻殻機動隊 SAC_2045』シーズン2の制作終了から早2年。神山監督は、この時間の経過に「2年経っているとは思えないくらい、たった2年で社会情勢も変わりました。そして物語の中で描こうと思ったこともどんどんパスされるような時の流れの早さを感じます」と驚いていた。

 

劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』、劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』を登壇当日に一気見した、という押井監督は「情報量が多いのでストーリーを追いかけるのでいっぱいいっぱいだった」とジョークを飛ばしつつも「神山監督は“時代”というテーマを相変わらず追いかけているなと感心した。今の世界で何が起きているのか?というテーマを『攻殻機動隊』という舞台を借りて描いている」と分析した。

 

 

ただ押井監督は、テクノロジーが進化した現代においては「アニメで“時代”を追いかけるのは大変。変わりつつある時代を、映画の中で描こうとするのは勇気のいること。昔は時代に抜きつ、抜かれつだったけれど、今では圧倒的に時代の方が早い。アニメーションとは制作に時間がかかるものなので、そのリスクを取れるかと考えると…自分は難しい」といい、『攻殻機動隊 S.A.C.』第1作から約20年経った今でも時代を描く新作を生み出していることに、「まだやってるのかと思った」と笑いつつも、「神山という監督は果敢にやっている、それに尽きる。よく戦っているなと思う」と労っていた。

 

一方、神山監督は「攻殻」シリーズの制作において「未来予測をしているわけではい」とキッパリ。「変わった例えかもしれないけれど、『ドラえもん』のひみつ道具のように、その時代に僕が欲しいものを作っているだけ。今の時代にこういうものがあったらいいなと。押井監督が言われた“時代”を追いかけるということよりも、自分の“欲しいモノ探し”という感覚でやっています」と打ち明けた。

 

 

本作の重要なポイントであるダブルシンク(現実と並行する形で、自身が思い描く虚構を生きている状態)について話が及ぶと、神山監督が「押井さんにはちょうどいいのでは?」と提案。押井監督も「虚構なしで生きている人間はいないと思う。若い人の中には現実と、ゲームとか虚構で生きている人もいる。現実がつらい人をどう救うかだと思う」と解説。さらに、本作では、クライマックスにダブルシンクを生み出したシマムラタカシが主人公・草薙素子に対して、世界中を現実に戻すためにコードを抜くか、それとも虚構の中で生き続けられるようにコードを抜かないかという最後の選択を迫る。この結末が明確に描かれないことについて、押井監督が「最後は(コードを)抜くか抜かないかの話になっているが、神山的には抜くか抜かないかの結論を出したくはなかったと思う」と推察すると、神山監督は「ほう、そう見ましたか…」とニヤリ。押井監督は「自分も『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』で悪魔に見えるか天使に見えるのかという話をしたし、『イノセンス』でも人形を選ぶのか犬を選ぶのかという話にした。映画としては二択にしないと物語が着地しないわけだから。しかし実際は第三の選択肢もあるはずで、それを観客に考えてほしくて。あえて二択にするテクニックがある。どっちがいいか、それは映画を観た観客の個人的な願望になるだろうけれど、僕は抜く派。現実の悲惨さも知っているけれど、その現実にしか人間の生きる場がないというのも決して悪いことではないから」とした。これに若き日の押井監督を知っている神山監督が「押井さん、変わったね。歳をとったね」としみじみすると、押井監督は「人間、歳をとるってそういうことだからね。人生には楽しいことも苦しいこともあって、その両方があって人生を生きたという実感に繋がる。それで初めて自分が自分であるという根拠になる。それが代替不能性。最近僕はこの言葉をよく使う。すなわち誰にも代えられない自分ということで、代替不能性こそが“生きる”ということの内実だと思うから」と年齢を重ねてさらに達観したようだった。

 

70代に突入した押井監督の哲学的マインドを聞いた神山監督は「押井さんは『イノセンス』を作る前にも色々と話をしてくれたけれど、その時は身体性と言っていた。当時は今ほど“死”が身近ではなかったのか、今とは反対のことを言っていた気がする」と回想。また現在の神山監督は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』はもちろん『イノセンス』を作った時の押井監督の年齢も越えているが、神山監督は「でも気分的には永遠に押井さんの歳を越すことはないと思う。永遠に離れているような気がする」と先人としてリスペクトしていた。

 

そんな中、押井監督は『攻殻機動隊』シリーズが長きにわたって愛され続ける理由について聞かれると、「わからない!」と即答し「『攻殻機動隊』がここまで続いたのは…謎」と人知を超えた現象であると捉えているようだった。

 

そして最後に神山監督は「『攻殻機動隊』は長きにわたって続くシリーズであり、新作を作るごとにお客さんが来てくれることに感謝しています。このような舞台挨拶をするたびに、まだ沢山の人たちが来てくれるんだ、と嬉しいです」と感激していた。